ベトナムの今がよくわかる/ ベトナムニュース解説 6月号

年間0.8冊――読書が嫌いなベトナム人

文化スポーツ観光省の統計によると、1人のベトナム人が1年間に読む本は0.8冊。多くの人は書籍に手が伸びない理由を、価格が高い、質が良くない、図書館にも蔵書が非常に少ないことを挙げている。 しかしこれらは原因の一部に過ぎず、その主たるものは、大多数の人々の、知識を得るために本を読もうという意識の低さがあると考えられる。書籍から知識を探し求めることを好む年齢であるはずの学生の多くも読書に非常に怠惰で、図書館の利用も少ない。 (『Nguoi Lao Dong』 2015年4月8日、p.10)
解説 暇があればネット、スマホというご時世ですが、かつてベトナムには都市部でさえ、書店も、店頭に並ぶ書籍の数もとても少なかった時代があったそうで、読書習慣が根付いていないのは、こうした歴史的背景もあるのかもしれません。 いまでは大型書店があちこちにあり、カフェを併設したり、内装に凝ったりした書店も多く、書籍の表紙イラストやデザインもオシャレなものが非常に増えました。 ベトナムで出版されている書籍には、小説でも実用書でも外国書籍を翻訳したものが多く、出版される本の約半分が翻訳物とも言われています。マンガばかりでなく、村上春樹、吉本ばなな、江國香織など、日本人作家の作品も翻訳版が多数出版され、大手オンライン書店の2013~14年のベストセラーランキングには、市川拓司の『いま、会いにゆきます』、木藤亜也の『1リットルの涙』などが上位に入りました。最近では、日本式育児本や絵本なども出版されています。 また、作品がTVドラマ化されるなど、ティーン世代を中心に人気のベストセラー作家グエン・ニャット・アイン(Nguyen Nhat Anh)の『つぶらな瞳』という作品が日本語に翻訳されています。

ベトナム産エビ、抗生物質でアメリカから輸入拒否

ベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)によると、2015年年初2ヶ月だけで、米国食品医薬品局(FDA)はベトナム産エビ少なくとも107ロットで輸入許可発給を却下している。これは前年同期比224%増となる数字で、この10年で最も多い。 VASEPによると、輸入が拒否された理由は抗生物質の残留で、うち75%のロットがニトロフラン汚染と動物用医薬品残留で拒否されている。 (『Thoi Bao Kinh Te Sai Gon Online』 2015年4月12日)
解説 今回の抗生物質残留でアメリカがベトナム産エビの輸入を拒否した背景には、2014年にエビ輸出が高い利益を上げ、2015年も好調が続くと見た輸出各社が、品質を重視せずに品集めを強化したことがあるようです。 これ以外にもベトナムでは、家畜に水を注入し重量を水増したり、フォー(Pho)などの麺を白く見せるために蛍光増白剤を添加したり、果物に成長促進剤を使用したりと、食の安全を脅かすニュースが頻繁にメディアで報じられています。 こういったなか最近では、有機野菜など安全性を全面にアピールした食材を専門に扱う店をよく目にするようになりました。一般的な市販品より割高ですが、安全性への関心の高まりから利用者は確実に増えています。安全性が不確かな安い中国産も敬遠され、「中国産は買わない」と決めている消費者も多いようです。

日本とベトナム、建設分野の人材育成で協力

イ・ファム・カン(Bui Pham Khanh)建設次官と青木一彦国土交通大臣政務官は2015年4月16日(木)、建設分野の人材育成に係る協力覚書を締結した。 技術育成プログラムの質改善、建設作業員の質向上を目的とした活動で協力し、日本側がベトナムの建設分野の人材育成を支援する。協力プログラムは2021年3月末まで。 (『VietnamPlus』2015年4月16日、『Thoi Bao Kinh Te Viet Nam』2015年4月17~18日、p.17)
解説 東日本大震災の復興事業に加え、2020年の東京オリンピックに向けて建設ラッシュを迎えている日本。懸念される建設業界の人材不足に外国人技能実習生の活用が進んでおり、建設業界で働く外国人労働者の契約を、従来の3年から最大5年に延長することが発表されています。 ベトナム人労働者の需要も多く、ベトナムは2015年、約5000人の建設労働者を日本に送り出す見通しで、4月にはホーチミン市技術師範大学、修成建設専門学校、大阪YWCA専門学校がベトナム人建設技術者の育成を目的とした教育提携を結ぶなどしています。 両国の人材育成協力は建設業界ばかりでなく、例えば電力では、ニントゥアン(Ninh Thuan)原子力発電所の導入に向けてベトナム電力グループ(EVN)から派遣された研修生が東海大学で学ぶなどしています。 2016年秋には、ハノイで日越大学の修士課程が開講する予定です。
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