メディカルトーク/第110回お酒の多飲も原因の 1つ!「大赤血球症」

メディカルトーク症例

50代男性。健診で貧血はないがMCV(平均赤血球容積)の増加を指摘された。生活歴からアルコール多飲(毎日ビール1リットル以上)が原因と考えられた。生活指導を行い、飲酒量の減量に伴いMCVは正常化した。

今回のドクター

原田知典医師/さくらクリニック
①「大赤血症」とはどんな病気? 体の隅々に酸素を運ぶ赤血球が、通常より大きいもの(赤血球1個が持つ平均的な容積であるMCV値が100fL以上)を、大赤血球症と言います。約半数は貧血(赤血球が少ないこと)を伴わず、自覚症状も特にありません。貧血を伴う場合は「大球性貧血」と呼び、めまいや息切れ、疲れ易さ等の貧血症状が認められます。 原因は様々ですが、アルコール多飲が最も多いです。その他、ビタミンB12や葉酸の欠乏、特殊な薬剤、肝臓や血液の病気、甲状腺機能低下などが挙げられます。 ②原因によって異なる症状 症状は、アルコール多飲が原因であれば、熟眠感の欠如や倦怠感、気分の浮き沈みなどです。ビタミン欠乏では、しびれ、知覚や味覚の障害、認知症やうつ症状などの神経症状が出ることがあります。肝臓や血液、甲状腺機能低下では、疲れやすい、息切れ等が出ることがあります。 ③MCV値から見える原因と治療法 MCVが著しく大きい場合(120fL以上)、体内のビタミンや葉酸の低下、内服薬に起因することが多く、補充療法や内服薬の変更が有効です。また、MCVが100~120fLと大きい場合、原因はアルコール多飲が最も多いため、治療は飲酒量を減らすことが必要になります。 ④生活習慣の見直しを 慣れない海外生活でストレスを感じることで、つい飲酒や喫煙、過食に走りがちです。特に単身赴任であれば、生活習慣について他人から指摘される機会は限られ、気づかないうちにアルコール依存やヘビースモーカーに陥ることがあります。 お酒やタバコを減らすとともに、ご自身のワークライフバランスや将来について考えてみてはいかがでしょうか。解決の糸口が見つかるかも知れません。
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