2014.11.05

ベトナム初の世界複合遺産/自然と歴史が織りなす悠久の地/ニンビンへの旅

tam-coc

2014年6月、北部ニンビン(Ninh Binh)省「チャンアン(Trang An)名勝・遺跡群」がベトナム初のユネスコ世界複合遺産に登録された。石灰岩が林立する風光明媚な景勝地、約3万年前の人類の生活跡、ベトナム国家の礎を築いた古都の遺跡。自然と史跡にあふれる町、ニンビンを訪れた。

撮影/大池直人  取材協力・監修/グエン・カック・スー(Nguyen Khac Su/ベトナム考古学院・シニア研究員および科学評議会副議長)、大西和彦(国立ベトナム宗教研究院客員研究員、南潮産業・翻訳会社日本語センター講師)

水と石灰岩が造り出す
世界で最も若いカルスト地形

ニンビンは見どころが非常に多い。「陸のハロン湾」と称される「タムコック/Tam Coc」や「チャンアン/Trang An」、「トゥンナン/Thung Nang」などの渓谷クルーズをはじめ、古都ホアルー(Hoa Lu)遺跡、洞窟寺として知られる「ビックドン/Bich Dong」寺など、枚挙にいとまがない。 今回、世界複合遺産として認められた理由の1つに、「世界で最も若いカルスト地形」があると聞く。カルスト地形とは、石灰岩などの岩石で構成された大地が、水によって侵食されてできた独特の地形のことだが、ここは約2億4000年前と、考古学的な見地からは新しい地形がとても珍しいのだという。さらに、点在する渓谷の中から約3万年前の人類の生活跡が残る洞窟が発見されている。自然が生む独特の地形と、そこで暮らしてきた人々の痕跡を訪ねに、世界遺産のメインとなるチャンアン渓谷へ足を運んだ。
ベトナム初の世界複合遺産 自然と歴史が織りなす悠久の地 ニンビンへの旅