ベトナムの日本人/ 大野真貴子さん /エシカルアクセサリーブランドCEO

ベトナムから世界へ、アクセサリーブランドとして発信 作り手の皆には誇りを持って生きてもらいたい

IMG_5386撮影/杉田憲昭 シンプルで、どこか何気ない存在感と個性を感じるアクセサリー。シグニチャーモチーフであるニットリングが印象的なアクセサリーを身に付けて登場した、エシカルアクセサリーブランド「フーヒップ」を手がける大野真貴子さん。 「大人っぽく、でも気負わない。身に付けた人にふっと馴染むようにデザインされています」。 ベトナム、シンガポール、日本などで販売しているこのアクセサリーは、実はベトナム・フエの辛い背景から誕生したものだった。 古都フエはかつてベトナム戦争の影響を強く受けた場所で戦後、船上で暮らしていた人々がいた。定住地区へ移動したものの、教育を受けられない子どもが多く、職もまともに得られない人たちがいた。 夫の転勤により、フエで暮らし始めた立ち上げメンバーの一人は、大学時代からの友人で、彼女からその事実を聞き、愕然としたそうだ。 「彼らが悪いわけではない、たまたまフエに生まれただけ。ここで育った多くの若者は貧困を理由に教育が受けられず、家計を助けるために、不当な労働に就いていたことがあったようです」。 2007年、フーヒップ地区で暮らす人々を支援する目的で、古くからの友人であるそのメンバー等が「フエハッピープロジェクト」を発足。当時コミュニティで育った若者や子どもたちを支援する目的で、最初は識字教育を行っていた。 「当初は労働を強制しようとする親に反発を受けたそうです。また都市に売られていく子もいた。一方で学びたい意欲を持つ若者が増えていき、教育だけではなく、雇用創出の重要性を認識した彼女の熱意で、デザイナーや多くの人を巻き込みブランドを立ち上げることになりました。私も彼女の情熱に動かされたうちの一人です」。 「自己満足では終わらない」。その強い思いから、彼らにもできること、かつ、チャリティーではなく商品として勝負していけるものを考えなければいけないと感じたという。 「日本のマーケットで勝負するためには、クオリティが高いものでなければいけない。普段、身に付けるもので女性を輝かせるもの、そして、作り手が幸せになってくれるものを作るために、プロのデザイナーの力を借りて、アクセサリーの作り方を子ども達に教えてもらいました」。 最初は彼女たちのレベルに合わせながら、作られたアクセサリー。 「当初は、ピンクと赤、などの色の違いを伝えることにも時間がかかりました。また、技術的な事だけではなく、基本的な勤務態度などを伝えることにも苦労しましたが、今では、立派なアーチザンとして成長しました」。 今、思うことは、 「『かわいそう」ではなく、『あなたが作ったものが美しいから』と言われるように、一流のアクセサリー業界で勝負していきたい。そして、ベトナムから世界へ発信するアクセサリーブランドとして認めて頂くことで、皆に自尊心を取り戻し、誇りを持って生きてもらいたいと思っています」
大野真貴子 おおのまきこ 2000年慶應義塾大学SFC卒業後、民間非営利組織にてプロジェクトマネジメントとファンドレイジングを経験、主にアジア地域での教育支援事業に従事。2009年よりフーヒップ参画、2014年ドッツジャパン設立。フーヒップ(Phuhiep)は大野さん以外に日本人女性2人と手がけるアクセサリーブランド。今秋はパリで展示会を予定。www.phu-hiep.com
関連記事
Related Articles
29屋的 越南食卓 /第34回
2020.01.12

29屋的 越南食卓 /第34回

宝の山☆市場へ行こう/【第9回】 魚醤・蝦醤(シャージャン)
2015.06.17

宝の山☆市場へ行こう/【第9回】 魚醤・蝦醤(シャージャン)

2015年3月号今月の表紙
2015.03.04

2015年3月号今月の表紙