マニアが薦めるチャム彫刻博物館の鑑賞ポイント
住所:8, 2 Thang 9 St., Hai Chau Dist., Da Nang
電話:(0511) 357 2414
営業時間:7:30~10:30 / 14:00~17:00
撮影・文/隅野史郎
チャンパ王国を支配
チャム族
2世紀末~15世紀後半頃まで、ベトナム中部ではチャム(Cham)族を中心とした民族の国家、チャンパ王国が繁栄。特に9世紀以降は、東南アジアの海上交易の担い手だった。インド文化の影響が濃く、砂岩石に彫られたヒンドゥー教の神々が数多く出土。一部の彫刻がチャム彫刻博物館に展示されている。
チャンパ調査・研究の功労者のひとりで、フランス極東学院の研究者アンリ・パルマンティエ(Henri Parmentier)によって、1915年に博物館が建てられた
時代によって異なるデザイン
7~9世紀頃の彫刻
入口すぐ左手奥にあるのが「馬車の彫刻」と、さまざまな「女神像」。これらは7~9世紀頃のもので、7世紀後半は南インド美術の影響を受けた、しなやかで優雅な表情、8世紀前半は全体の構成に調和が取れ、大きく開いた目、長い耳、厚い唇が特徴だ。9世紀はインド&クメール美術の影響を受け、宗教色が強い。
1000年以上前に栄えたチャンパ王国の遺物のひとつ「馬車の彫刻」
ヒンドゥー教の世界観を表現
リンガ
博物館右に進むと、巨大な展示物が目に入る。垂直に立っている円柱形の棒を「リンガ(男根)」、リンガを支えている台座を「ヨニ(女陰)」と呼び、シヴァ神の象徴とされている。
この2つが合わさる様子は、「世界は形成された」という意味を持ち、ヒンドゥー教のシンボルとなった。
リンガとヨニの組み合わせは、ミーソン遺跡でもいくつも見られる
神々、動物の像に込められた思い
アンコール王朝とのかかわり
右手に少し戻るように廻ると、少し作風の違う象と龍の彫刻が現れてくる。かつて、チャム族はアンコール王朝(カンボジア)と戦争や和平を繰り返していた時代があり、お互いに影響を受けた象の彫刻の足の爪の造りからアンコール朝の影響が伺える。
さまざまな地域の遺物を見比べよう
新館
新館との間に、一時期、仏教に影響された時代の展示もある。新館にはそれぞれ異なる地域などから出土した遺物の展示があり、少しのんびりとした顔つきの彫刻がユーモラスでもある。彫刻の顔と出土地を見比べてみると面白い。新館2階では、期間限定の特別展示が行われている。2014年9月現在、さまざまなチャム文化のパネル展示が行われている。
COLUMN :チャム遺跡を見に行く前に…
やわらかい砂岩石から作り出す曲線美がチャム彫刻の特徴といえる。その彫刻の多くが世界文化遺産のミーソン遺跡をはじめ、他のチャム遺跡にあるタワー(遺跡)の装飾に使われていた。
チャム彫刻博物館に展示されている彫刻を目に焼き付けてから、タワーを見に行くとまた違った美しさが見えてくるだろう。
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