メディカルトーク/ 第100回 歯の定期検診でう蝕・歯周病を防ぐ

メディカルトーク 症例1

35歳、男性。冷たいものがしみたため、受診。全顎的に多数のう蝕。歯の神経に近接した大きなう蝕と診断。

症例2

55歳、男性。左下奥歯が揺れて、咬めない事が気になり受診。全顎的な歯周病、左下は抜歯と診断。

今回のドクター

中島隆歯科医/ハイフォン国際歯科センター
①う蝕、歯周病とは? う蝕とは、う蝕原因菌により歯自体に穴があく病気です。一方、歯周病は、歯周病原因菌により歯の周囲の歯ぐきの骨が溶かされ、歯を支えられなくなる病気です。う蝕、歯周病は、歯科における二大疾患で、大人の場合、どちらも進行はゆっくり。 初期はう蝕、歯周病ともに症状を認めず、日常生活に支障はありません。しかし症状が出始めた頃には、かなり進行した状態である事が多いです。いずれも継続した歯の定期検診で予防できます。 ②早期治療で体への負担を軽減 歯の定期検診では、う蝕、歯周病の予防のため、歯石の掃除やフッ素塗布などを行います。罹患した際も、初期状態で発見し、早期治療に取りかかることで、体への負担を減らします。初期状態の治療は、う蝕ならば小さい範囲のつめ物で修復します。歯周病であれば、数回の歯石取りと経過観察で終わります。時間も費用もかかりません。 進行がかなり進んでいる場合には、歯の神経の除去、抜歯など元の状態に戻せない治療方法が選択されます。 ③ベトナム赴任でもきちんと受診を 日本では定期的に歯科受診していた方でも、ベトナムでは受診ができず、日本への一時帰国も不定期かつ滞在時間も短いため、歯科受診は後回しになりがちです。歯科受診をしにくい環境は本人だけの責任ではありませんが、自分の健康管理は本人の責任です。 現在、ベトナムの主要都市では、日本人歯科医師常駐の歯科医院が増えています。日本語で、日本と同水準の治療が受けられる設備が整備され、慌ただしい日本滞在時間でなくとも、ベトナムでゆっくりと歯の定期検診が可能な環境が整っています。歯科では、3~6ヶ月ごとの定期検診をお勧めしています。痛みが出てから慌てるのではなく、普段からお口の中に気を配ることが大切です。