ベトナムの日本人/北口遥基さん/サッカー指導者

サッカー指導はよりよい人格形成から。 子どもたちがきちんと育つことがベトナム経済の発展につながる

japanese201407撮影/杉田憲昭 サッカーの練習開始15分前、生徒たちがグラウンドに現れると、大きな声で生徒の名前を呼び、彼らの元へ近づく。NPO法人アミティエ・スポーツクラブのサッカー指導者・北口遥基さんだ。 「こんにちは! 元気かな? 今日も頑張ろう!」と声をかけ、生徒と握手。先生と挨拶を交わした生徒たちもハイテンションになり、すぐに練習が始まった。ボールを使わずに鬼ごっこで体をあたため、ボールを使いながら準備運動。先生がひとつひとつの練習項目を説明するたびに、子どもたちはボールの上に座り、ひざの上にきちんと手を置いて、先生の目を見て話を聞いていた。 「サッカーの技術を伝えることは大切ですが、まずは挨拶や礼儀を教えて人格形成を行っています。サッカーはチームで行うもの。ルールを守る、仲間を大切にする、先生やお父さん、お母さんへの感謝の気持ちを伝えることなどを通じて、ベトナム人の子どもたちが思いやりを持ってもらえたら。子どもたちがきちんと育つことは、今後のベトナム経済の発展につながると思います」。   練習中、北口さんは生徒たち全員に目を向け、小さなことでもできたことを褒める。 「褒める指導を心がけています。とはいえ、甘やかすのではなく、厳しく伝えることもあります」。   子どもの目線まで腰を下ろし、楽しそうに会話をする。先生ではあるが、子どもたちにとってお兄ちゃんのような存在ともいえそうだ。   北口さんはベトナムに来てから半年後の2014年1月に同クラブを立ち上げた。現在、生徒数は130人にのぼり、練習会場は5ヶ所まで拡大した。すぐに生徒が集まったわけではなく、チラシを配るなどの地道な活動を行い、口コミで広まっていったという。 「レッスンは週に1回。1回につき、1時間の練習を行います。ベトナムには無料でサッカー指導を行っているチームもありますが、僕たちは、費用をいただくことで、それに見合った指導やサービスを行っている自信があります」。   しかし、当初から難なく、理解されたわけではなく「高い月謝を払っているのだから、ボールなどの道具は用意してほしい」と生徒の親から言われたことがあった。 「自分で道具を用意し、毎回の練習に道具を持ってくることで自立心を養えます。それに、ボールを持っていなければ、自主練習もできない。その辺りを親御さんたちにきちんと理解してもらう必要がありました」。   決して安くはない月謝。ベトナム人の両親は日本式指導に期待を寄せているのだろう。 「All For Children」。北口さんはこの言葉を合言葉に、日本サッカー協会が、夢を持つことの大切さを伝えている「夢先生」プロジェクトの展開や、ベトナムのプロリーグへの参入など、現在の取り組み以外にも事業を計画しているという。 「未来ある子どもたちのために、日々、これからも邁進していこうと思います」。
北口遥基 きたぐちはるき 北海道出身。1985年生まれ。学生時代よりサッカーをはじめ、スポーツを通じて 学んだことを子どもたちに伝えていきたいという想いからNPO法人アミティエ・スポーツクラブに就職。同クラブのサッカースクール指導者、社会人チームの選手として活躍。2014年1月、ホーチミン市にてベトナム人向けのサッカースクールを開設。
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