ベトナムの日本人/竹森紘臣さん/建築家

自分のやるべきことは、どこにいても変わらない ベトナムに来てより一層、異文化の壁を感じなくなった

Library_001 「極端なことを言えば、朝起きた時にそこがベトナムであろうが、日本であろうが気にならないですね」。   海外で活躍したいと考えていたところ、知人からの依頼があったのをきっかけに、2011年からベトナムで活動を始めた竹森紘臣さん。設計事務所「ワークラウンジ03ー」の代表を務める、一級建築士だ。「国際交流基金ベトナム日本文化交流センター」の図書室の改修や、カフェ「ジョマ/JOMA」トンズイタン(Tong Duy Tan)通り店などを手掛けきた。    ベトナムで初の仕事となったのが図書館の改修。築100年を超える歴史的建造物であるため、外観や主な作りは変更しない方針のもと、テーマを「内部に向かって開いた図書館」とし、内壁を全て本棚にするというアイディアを出した。限られた空間はそれまで本棚や机がただ置き並べられた状態から、広々かつユーモラスに利用できる場へと変貌。利用者からの評判も上々だ。「毎日欠かさず現場まで足を運んでいた」こともあり、竹森さんにとっても思い入れ深い作品といえる。そんな中、それらの仕事を通して、ベトナム建築で発見があったそうだ。 「ベトナム人は風水に重点をおいて、設計を考える人が少なくありません。玄関の向きを施主の年齢にとって吉とされる方角にするほか、縁起が良い階段の幅や段数があったり。建築士がデザインに口を挟む要素がないほど、風水や法律によって決め固められた案件もあるんですよ」。   竣工予定日が間近になったときに不足している資材が分かり、自らがオートバイでハノイの街を探して回ることもあるという。しかし、竹森さんはこのような環境を「不便」だとは感じていない。 「建築士として私がしていることは、日本とベトナムにいる時とでは何も変わりません。与えられた環境のもと、クライアントの要望を聞き、その建造物に対する自分のテーマを決める。それを現場スタッフと共有し、ズレが生じたらその都度話し合う。ただ、言葉の問題や文化的感覚の違いがあるため、ベトナムでは現場スタッフとの話し合いの時間が日本の現場と比べると多い、というだけです」。   仕事をしていく中で、国が変われど、自分のスタンスには変化がないことに気付いてから、彼の中でボーダーがなくなったのだ。 「本当に、自分にとってベトナムと日本で働くことの違いが特にないんです」。   気さくな笑顔で語る竹森さんの言葉からは、飾らず、与えられた環境で仕事をきちんとこなす「一流職人」としての芯の強さを感じる。   異文化は異文化として面白がり、そのうえでどう仕事をするか楽しんでいる竹森さん。だからこそ、自然と彼の手からはベトナムと日本の文化が折衷されたオリジナル作品が生み出されていくのだろう。
竹森紘臣 たけもり ひろおみ 静岡県出身。株式会社worklounge03-の代表取締役。2001年に関西大学大学院建築学科都市計画学専攻修了。2003年にworklounge03-を共同設立。
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