メディカルトーク/第89回 食いしばりが原因!?/歯冠・歯根破折

メディカルトーク症例

44歳の男性。数週間前より、食事時の痛みと違和感があったが、その後歯茎が腫れて膿が出るようになった。レントゲンおよび診察から歯根破折と診断され、抜歯することとなった。

今回のドクター

内田結貴歯科医師/スマイルデンタルセンター
①歯冠破折って、何? 歯冠破折は歯の頭(見える部分)に、歯根破折は歯の根(見えない部分)に亀裂が入り、割れることです。 これらが最も起こりやすいのは、食いしばりや歯軋りで、歯が擦り減っているケース。特に歯根破折は右記の条件に加え、神経を抜いたことのある歯で起こりやすくなります。 ②過剰な力が歯に負担を ものを噛む時には40~60㎏くらいの力が歯にかかりますが、日常的に食いしばりや歯軋りがあると、これを上回る過剰な力で歯に負担をかけることになり、破折の原因になります。神経を抜いた歯は、「枯れ木」と似たような状態。歯の質がもろくなっていますので、歯も割れやすくなるのです。 ③検査して初めて発見されることも 虫歯ではないのに痛い、歯に亀裂が入っている、噛んだ時に痛みを感じる、これらの症状に加えて歯が揺れている、歯茎が腫れる、などの症状が出ることがあります。とくに歯根破折は割れている部位を目で見て確認することが難しいため、レントゲンや検査で確認して初めてわかることもあります。 ④折れたままにせず、しっかり治療を 歯冠破折は、亀裂の深さによってかぶせものをするだけで済むこともあれば、神経を抜かなければならないことも。歯根破折の場合は、原則的に抜歯します。折れたままにしておくと、歯茎の腫れなどの炎症が治まらなくなったり、周りの骨がやせ、その後の治療が困難になったりすることがあります。 ⑤歯科医師とよく相談をしよう 食いしばりや歯軋りを減らし、歯への過剰な負担を取り除くために、マウスピースを用いましょう。抜歯しなければならない場合は、治療方法の利点・欠点を歯科医師と相談した上で、残った歯をきちんと守ることが大切です。
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