2013.07.01

No.031 内なる欲求/Stephane Baehler

No-31-02No-31-03私の主な仕事である商業写真では、コンセプトを正確にとらえなくてはならない。つまり、クリエイティヴな余地はほとんどない。だから時々、自分の心の赴くままに撮影したくなる。 カメラを持って外に出て、オートバイで走りまわると、街を全く異なる角度で感じられて、一旦始めると止められなくなる。 クリーンでシンプルな物を見ると、僕のスイス人の血が騒ぐのだろう。フレーム内の完璧なバランスを求め、そこに鮮やかな色彩を加えると作品はぐっと魅力的になる。 自己表現ができる写真は僕に必要なものだが、それは気分が良い時に限られる。数日間、撮影をしないでいると、この欲求を満たすために、撮影対象となるモノや友人(女性)を見つけずにはいられない。 これらの作品をレタッチする時は、撮影している時と同じ精神状態になる。パソコンでの創作活動は撮影と同じくらい大切なものだから、いつも自分で補正をかける。 作品を観た人がその良さを分かってくれればいいなとは思うが、それはあまり重要ではない。大切なのは、自分の中から何かを生みだすことなのだから。 No-31-01
写真・文/ステファン・ベーラー イタリア系スイス人フリーカメラマン。1989年より撮影を始める。ホーチミン市在住。ベトナム内外のファッション誌や商業写真で活躍。 http://stephanephoto.com
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