29屋的越南恋愛コラム／「ベトナムを離れてでもやりたいことができた時に、愛する人を置いていくべきか、否か」／第19回

食うには困らない。生活もしやすい。しかし…？

日本を離れて数年。ベトナムの仕事にも生活にも慣れて、友達もいる。恋人か、人によっては妻子もできて、立派に生活のベースができたとする。しかし、そこで、１度たりともこう思わない人は少ないはず。「俺の人生、このままベトナムだけで終わっていいのか？」と。転がる石に苔むさず、とは言うものの、ベトナムで落ち着きつつあった日本男児が、今よりもステップアップを目指そうと「野望スイッチ」がＯＮになったとき、はたして生きていけるのか？そして、どうするべきなのか？ 「ベトナム屋」の需要、今昔。どうやら、食っていけそう？ ベトナムの経済が今ほどに発展する以前、ベトナムで覚えた仕事のスキルというのは、日本や他所の国では通用しないものが多かったという。法の未整備、インフラの不足、未成熟な市しじょう場、ベトナム人スタッフの能力＆経験値不足などから発生する「トラブルシューティング」が日常業務の大半となってしまい、まともなビジネスを修行できる環境ではなかったものだった。その結果、駐在員、現地採用、自営業を問わず、悪い意味で専門的な「ベトナム屋」になってしまった人も多く、任期が切れたり自発的に帰国したりして日本へ戻った後、「社会復帰」のリハビリに相当な苦労をしたり、馴染みきれずに退社して、またベトナムに戻ってきたりという人も多かったとか。しかし、翻って現在。先人たちの苦労が実って、「売り手」としても「買い手」としても、大きく育ってきたベトナム。必要な仕事の質量も、日本における「それ」に近づきつつある。しかも「業務立ち上げ」の経験やノウハウが、カンボジアやミャンマーなど、ベトナムに続く発展途上国での業務にも十分に役立つような状況だ。日本でも、「遅ればせながらベトナムに進出したい＆取引したい」という後発の企業も増えている。つまり、「ベトナム屋」は昔よりもはるかに「ツブシ」が効くようになっているということだ。無論、個人の資質は問われるけれど。 恋人・家族がベトナム人であろうと、外国人であろうと ただ、自分ひとりならば、自分のことだけ整理をつければいいとしても、既に、ここベトナムで恋人や妻子がいるとしたらどうすればいいのか？　養うに十分な収入・貯金があったとしても、それだけでは足りない。彼らをベトナムの友人知人親族から引き離すのみならず、新天地で「籠の鳥」にしてしまう危険性を押しつけてまでも、「一緒に来てくれ！」と言えるのか？かといって単身で行っても、孤独に耐える「覚悟」と、遠距離ケアにくじけないだけの「真心」が要る。どちらに進んでも、茨の道。それらを己の野望と天秤に掛けつつ、どうしても捨てられないものをガッツで選ぶしかない。もしくは、潔く、やめとくべし。