29屋的越南恋愛コラム/「狭い日本人社会で、別れた恋人/と関わらざるを得ないのならば」/第17回

29屋的ベトナム恋愛コラム 会いたくなくても出会ってしまう、世間の狭さが恨めしい

日本語の「さようなら」という言葉は、「あなたと一緒に居たかったけど、“左様(さよう)”なわけには“なら”なくなったので、お別れしましょう」という背景から成り立っているという。 日常生活の緊張感と人恋しさが交錯する異国での暮らしにおいて、若い日本人男女がくっついたり離れたりするテンション&スピードは、決して気軽なものではない。だが、失恋したからといって、相手の顔を見ない&噂も聞かないで済ませることはできない。 なにせ石を投げれば知り合いにあたるほど、世間の狭いベトナムの日本人社会。仕事やパーティーの場において、別れた人に鉢合わせしたり関わらざるを得なかったりする機会たるや、日本のそれとは比較にならないほど頻繁であり、ニアミスの危険性は多い。表面上平静を装ったとしても、生乾きのかさぶたをつつきまわされるような状況が長時間続いて、本当に平気なわけがない。 当の本人達にとっても面白いものではないが、他人に余計な気を遣わせたり、一方で格好の娯楽&ゴシップを提供している(ような気になる)のも何だかツライ。ならば、どう振舞うべきなのか?

体裁を気にしてノイローゼになるくらいなら、いっそのこと…

ロシアの劇作家チェーホフの名作『ワーニャ伯父さん』に、このような台詞がある。 「女が男の親友になるまでには、こういう手順がいるものだ。はじめは友達、それから恋人、さてその先が親友」。 たしかに理想的な「オトナ」の関係ではあるし、そのためにとりあえず一旦物理的&精神的に距離を置くことは、当事者同士にとっては必要な措置であるように思える。そうすることで、周囲の和を乱さず、自分がジタバタするところを衆目に晒さなくて済むからだ。 しかしそれは、時を経てお互いが別々の道を歩んだ上での「結果」であるべきだし、別れた直後にできるわけがない。ましてや、すべての「元・恋人」と良好な別れ方が出来るとも限らない。 で、あれば、自分の器量を超えてまで「物分かりのいいヤツ」を演じる必要はなく、心の赴くままに「イヤなものはイヤ」と断言して和を乱してしまうべし。そっちのほうが遥かにオモシロ…いや、潔いではないか。 アカの他人に理解も同情も求めることなく、ナイフみたいに尖っては触るもの皆傷つける時期があってもOK!ため息も、八つ当たりも、ハタ迷惑には変わりない。倒れた後で前よりも強くなればよい。最悪でも自分が別の国に行くか、2年もガマンすれば日本人社会の顔ぶれも入れ替わるはず。気が済むまでジタバタした後、昨日の自分を乗り越えろ! ガッツ!
29 屋(にくや) 食材&弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「29 屋に訊け!」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム恋愛模様をちょっぴり辛口、ときどき優しく(!?)、生あたたかい目で考察する。
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