伊藤忍のベトナムめし大全/第49回 ダラットピーマンと牛肉の炒め物/Thịt Bò Xào Ớt Đà Lạt

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南部の避暑地として有名な高原の街、ダラット(Da Lat)と言えば、その涼しい気候で栽培したフレッシュな高原野菜が有名です。以前より、このダラットの野菜は「ラウダラット/ Rau Da Lat」(Rau= 野菜、Da Lat= ダラット)と呼ばれ、ベトナム南部で立派なブランド野菜となっています。 ダラット野菜は、アーティチョーク、カリフラワー、クレソン、レタス類、ハーブなどの洋野菜が有名ですが、中でもここ10数年で有名になったのが「オットサンダラット/ Ot Xanh Da Lat」(Ot= 唐辛子、Xanh= 青い)と呼ばれる野菜。直訳は、ダラットの青い唐辛子となりますが、肉厚のピーマンとか、青いパプリカと言った方がイメージしやすいかも知れません。食べてみるとかなり肉厚でジューシー、甘味もあり、シャリっとした食感がおいしいのです。 このダラットピーマンの代表的な食べ方が、牛、豚、ひき肉などをダラットピーマンと合わせた炒め物。中でも牛肉と炒めた「ダラットピーマンと牛肉の炒め物/ Thit Bo Xao Ot Da Lat」は、ホーチミン市のレストランなどでも食べられる人気の料理です。 フルーティーな甘味があってジューシーなダラットピーマンには、ベトナムの赤味の強い牛肉が良く合います。シンプルにピーマンと牛肉だけのものもありますが、玉ねぎやにんじんを加えて、彩りや別の食感を加えることもあります。 味付けはお店や家庭によって異なりますが、刻んだにんにくと魚醤のヌックマム(Nuoc Mam)かベトナムの大豆醤油、またはオイスターソースなどを、1種か2種混ぜたり、さらには砂糖、こしょうなどを使ったりします。おつまみにそのままつまんでもいいですし、白いご飯の上にのせておかずとして食べてもおいしいですよ。 この野菜は、20年ほど前に台湾人が台湾への輸出用として栽培するためダラットに持ち込んだもの。その美味しさから、短期間で国内にも広まりました。 もう10年くらい前になりますが、ピーマン農家を取材したことがあります。高値で売れるので、どこの農家も最初は飛びつくそうです。しかし、質の良いものを作るには、他の野菜よりもかなり手間がかかるそうで、1本の木にいくつかできた実は、早い段階で3つに間引いてしまう。そういう手間を惜しまずに育てると、大きく立派なダラットピーマンが出来上がるのだそうです。 「怠け者にはこのピーマンは作れないんだよ。」と言っていたのが印象的でした。ブランド名だけでなく、質も伴っているからこそ人気がある、ということですね。
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伊藤忍(ベトナム料理研究家) 2000 年より約 4 年間のベトナム暮らしの後、帰国。現在、日本にてベトナム料理教室やベトナム料理店のメニュー開発、執筆を中心に活動。2011 年7 月に新作『ベトナム×ハノイ36 通りグルメ』(情報センター出版局)を出版。詳しくはホームページ(www.vietnamfoodnet.com)を。
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