ベトナムの日本人/ニューエル澤乃さん/ARC共同設立者

家族の一員として動物を迎える若い世代が増える今、 ベトナム全体で「動物への思いやり」が根付いてもらえたら…

interview_2012_12 ベトナムの日本人「街中で猫を見つけると、自然と寄っていってしまうんですよ」 と微笑みながら話す、ニューエル澤乃さん。約2年前にホーチミン市で非営利の動物愛護グループ「ARC(アニマルレスキュー&ケア)」を仲間たちと発足。捨て犬や猫を救助し、里親の斡旋、虚勢手術の促進、児童への動物愛護教育などを行う。 現在、約40匹の成猫や子猫たちを仮の里親宅や「キャットルーム」と呼ばれる施設で保護。これまでに約150匹の猫と約50匹の犬の保護と里親探しに成功した。取材当時、施設には6匹の猫たちが寝ていたり、おもちゃで遊んだり。 「アメリカに住んでいた時、近所にいた野良猫の面倒をみたことがきっかけで猫を飼うようになりました。猫たちと生活を共にするうちに、飼い主のいない動物たちにできることはないかと漠然と考えていました」。 その後、シンガポールに住むことになり、国の力を感じたことがあったという。 「シンガポールは意外と路上に猫が多くいましたね。すごいなと思ったのは、政府が路上にいる動物の虚勢手術を行っていたことです」。 一方、ベトナムは、「一部の間では、犬や猫を家畜としてみていたり、生きた猫をダンボールに入れてゴミ箱に捨てるといった扱いが現実のようです」。 ベトナムに来てインターネットの掲示板で、ホーチミン市アンフー(An Phu)エリア在住の動物好きの会を見つけて、参加。 「彼らと動物のために何かをしようと話していたのが今の活動の始まり。参加者のほとんどがペットを飼っていて、そのつながりで獣医のドクター・ギア(Nghia)と知り合いました」。 ギア先生はニューエルさんたちの活動に賛同し、発足当初から彼の病院の一室を提供。また現在、里親は35~50人いるが、中心となって活動してくれているのは10~15家族程度だ。 「生後間もない子猫の生存率は低く、里親やボランティアのおかげで生き続けることができます」。 育てられた動物は、飼い主が見つかるまで待機。しかし、現実は厳しいようで、少し悲しげな表情で猫をなでながらこう話す。 「自宅がサービスアパートでペットNGだったり、ゆくゆくは帰国するから飼えないという声があります。仕方ないことですが、悲しいですね」。 とはいえ、できることは多々あるようだ。 「猫が大好きという日本人の方が週に1度、部屋の掃除、エサやりをして下さっています。また最近では、インターナショナル学校に通う子どもと母親のペアや、ベトナムの若い子たちがボランティアに来てくれています。本当にありがたいです」。 参加者のベトナム人の若者たちとやりとりをしていて、発見があったという。 「彼らはペットを家族の一員として迎えようという意識を持ち始めている。そういう人が増えることで、動物への思いやりが根付いてくれれば、動物たちも幸せになれますね」。
ニューエル澤乃 にゅーえる さわの 1965年、東京生まれ。ホーチミン市で非営利の動物愛護グループ「ARC(Animal Rescue & Care)」の共同設立者。里親、ボランティア会員を募集中。詳細はFacebookファンサイト(A.R.C Vietnam)またはウェブサイト参照。普段はピラティスのインストラクターとして、日本人をはじめグループクラスを開講中。 www.arcpets.com
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