ヴィジュアル☆ベトナム/BUYING CONTEMPORARY ART: SOME TIPS, BUT NO “HOT TIPS”, SORRY./現代アートを買うコツ。でも「秘策」はなしで、悪いけど。

ヴィジュアル☆ベトナムこれまで2回にわたり現代アートについて述べた。そろそろみなさんの食指が動き始めて、買うことに興味が湧いてきたのなら良いのだが。 投資目的での購入は、今後そのアーティストが飛躍するかどうかにかかっている。ベトナムのアートをこの20年間観察していて気付いたのは、人によって10年くらいは飛躍し脚光を浴びるが、次第に作品は繰り返しになるか、ペースが落ちてしまう。“今っぽい”作風でも表面上だけの場合もあり、背景となる概念は障子のように薄いこともある。 投資が目的なら、外見と相まったアーティストの知的な厳格さに注目するといい。その作品にしっかりとした哲学があり、安定していて、画期的であればあるほど、将来の作品も価値あるものとなる可能性が高い。このテーマについては、連載第1回を読んでみてほしい。 自宅やオフィスに現代アートを飾るなら、若手アーティストの作品から始めるのがいいだろう。でも値段には注意して。ベトナムの若手アーティストは、自分たちで高値をつけたがる傾向がある。1000ドル以上もする学生や若手の作品を買うのは、どうかと思う。もっと経済状況が良く、より発展した他国では、数百ドルも出せば若手アーティストの小作品を手に入れられる。だったらベトナムやカンボジア、タイでも同じではないだろうか。 若手アーティストの作品を探すなら、こまめに展覧会をのぞくこと。「ハノイグレイプヴァイン/Hanoi Grapevine」(http://hanoigrapevine.com)は、そんな目的にぴったりだ。展示会のオープニングやその後に訪れてみよう。アーティストのウェブサイトチェックも忘れずに。 アート界の発展にも役立つ最後のコツとして、「名前だけを追ってはいけない」。あるアーティストが、特に国際的に注目を浴び始めると、その名前が記事や展示会に頻出し始める。同じ人が繰り返し選ばれ、それ以外の人は蚊帳の外。その理由は才能の問題以外によるところが大きいが、ここで説明するには複雑すぎるので割愛する。 だから誰の作品を買うべきかという「秘策」は述べない。代わりに、現代アートに親しむ時間をとって、理解を深めることをおすすめしたい。そうすれば、自信をもって買えるようになる。作品を買うことは、若手であれ中堅であれアーティストに自信と経済的安定を与え、ベトナムで強固な現代文化を築き上げる具体的な支援の形として、このうえなく貴重なのだ。
Sue Hajdu スー・ハイドゥー オーストラリア人アーティスト、写真家、文筆家としてベトナムと日本で活動。 シドニー大学・日本学の学士号、同大学院視覚芸術の修士号をもつ。 www.suehajdu.com facebook: Sue.Hajdu.Projects
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