2012.06.08

最終回/個人所得税の過少申告リスク

ベトナム会計相談所個人所得税、申告していますか?

ベトナムにご滞在の皆様は、個人所得税の申告を、きちんとされていますか? ベトナムに年間183日以上滞在する居住者の方は、ベトナム国外の所得を含む全世界所得の申告が義務付けられています。また、年間183日未満の滞在であっても(1日のみでも)、ベトナム源泉所得に対して納税義務がありますのでご注意下さい。 現在、日本などベトナム国外の所得を申告していない過少申告を理由とする税務調査は増加傾向にあり、当地の日系企業の方々からご相談を受けることが多くなってきています。

追徴課税・納税遅延への罰金リスク

ベトナムの税務局は、当然のことながら日本人の給与水準を把握しています。従って、ベトナム法人の役員クラスの所得を、月額1500US$や2000US$という低い水準で申告していれば、後々、税務局から指摘を受ける可能性があり、追徴課税および納税遅延への罰金を科されるリスクが生じます。

過去に遡って納税有無を調査

駐在員事務所の閉鎖や法人の清算手続きに際しては、個人所得税申告に関して過去に遡って調査を受けます。ここで問題を指摘され、税務局の最終納税証明が出ない状況になると、閉鎖および清算を早く進めたくとも申請手続きが遅々として進まず、1年経過しても手続きが終了しない事態に陥ることとなります。 企業は将来において遭遇するであろう、あらゆるリスクを常に考慮することが重要です。先を見据えての正しい税務申告を行い、事業活動におけるリスクを低減する姿勢が求められます。
安藤 崇 あんどうたかし NAC (Vietnam) Co., Ltd. 南山大学法学部卒業。NACハノイ・ホーチミン事務所の創設に参画。在越9年で、現地の会計実務、ビジネス習慣、ベトナム語に精通。 http://vn.nacglobal.net