ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 5月号

ベトナムニュース解説日本、ベトナムに 総額1364億円の円借款

2012年3月30日(金)ハノイで、ブイ・クアン・ヴィン(Bui Quang Vinh)計画投資大臣と谷崎泰明在ベトナム日本国大使は、2011年度第2期の日本政府による対ベトナム政府開発援助(ODA)の交換公文に署名した。 日本は8件のプロジェクトに総額1364億4700万円を供与する。最も供与額が大きいのは、ホーチミン市都市鉄道建設計画(ベンタイン/Ben Thanh-スオイティエン/Suoi Tien区間[1号線])第2期の443億200万円。 他7件は、▽第10次貧困削減支援貸付、▽地方病院医療開発計画第2期、▽国道3号線道路ネットワーク整備計画第2期(ハノイ-ターイグエン/Thai Nguyen区間)、▽ノイバイ(Noi Bai)国際空港T2旅客ターミナル建設計画第2期、▽ホアラック(Hoa Lac)科学技術都市振興計画第1期、▽保全林造林・持続的管理計画、▽第2期南部ビンズオン(Binh Duong)省水環境改善計画。 (『Nguoi Lao Dong』2012年3月31日、p.02、『Thoi Bao Kinh Te Viet Nam』2012年3月31日~4月2日、p.03)

解説

ベトナムにとって日本は最大のODA供与国で、今回の円借款は、都市のインフラ整備と地方の生活改善に焦点があてられています。 最も供与額が大きいホーチミン市都市鉄道建設計画では、高まる交通需要に対応するとともに、交通渋滞や大気汚染の軽減を目指し、地方病院医療開発計画では、医療機器の整備と人材育成を支援します。 この交換公文の署名で、2011年度のODA約束額は過去最高の2080億9700万円に達します。東日本大震災からの復興に励むなかでの支援は、とても貴重なものと現地では評価されています。

第1四半期のFDI実行額は 25億2000万US$

計画投資省外国投資局によると、2012年3月(20日まで)の外国直接投資(FDI)実行額は15億2000万US$、年初3ヶ月では25億2000万US$に達した。 同年3月の登録額は、年初2ヶ月の登録額相当となる12億3000万US$、うち12億US$はビンズオン(Binh Duong)省の「東急ビンズオンガーデンシティ/Tokyu Binh Duong Garden City」。これにより、年初3ヶ月では不動産分野の登録総額がトップとなっている。次は製造業の11億7000万US$、運輸・倉庫の1億8000万US$。 (『Dau Tu』2012年3月26日、p.01)

解説

計画投資省によると、2011年12月15日時点で有効なFDIプロジェクトは累計約1万3670件、登録総額は1980億US$。2011年の新規・追加登録額は147億US$で前年の74%相当でした。2011年は、工業・建設分野(70%超)に投資が集中し、不動産分野は5.8%と2010年比で強く落ちています。 ベトナムには、すでに多数の日本企業が進出しており、東日本大震災や円高の影響による日本国内での生産コストの高まりから生産を海外にシフトする流れのなか、特に最近では中小企業の投資が増えています。 ベトナム政府も、日本企業向けの専用工業団地を試験的に建設する方針があります。

公共立体駐車場に着工、 ホーチミン市

サイゴン(Sai Gon)交通運輸機械総公社(Samco)は2012年3月23日(金)、ホーチミン市1区コーヤン(Co Giang)街区で同市初となる公共立体駐車場に着工した。10階建てで、自動車約500台を収容できる。 (『Phap Luat』2012年3月24日、p.06、『Nguoi Lao Dong』2012年3月28日p.07)

解説

3万5000台が11万台に――ベトナムといえば、押し寄せるオートバイの波、というのが世界的なイメージですが、経済成長、所得増加に伴い自動車ユーザーも急増しています。 この数字は、ベトナム国内で生産された自動車(新車)の2005年と2011年の年間販売台数で、日本と比べると、まだまだ少ないとはいえ、この6年で実に3倍強に増えています。 都市部では、ラッシュアワーに自動車が長蛇の列を連ねる光景もよく見られるようになり、渋滞が大きな社会問題となっています。一方通行化、路上駐車の禁止といった交通の流れを改善する対策が打たれていますが、街中には大型の駐車場がほとんどないため、地下駐車場を含む立体駐車場の整備も急務となっています。 また自動車の登録料は、ハノイとホーチミン市で最近引き上げられたほか、都市中心部への乗り入れに料金を徴収する案も出ています。 公共交通機関の整備が遅れるなか、自動車ユーザーの増加にいかに対応していくかが、ベトナムの都市開発の課題といえます。
情報提供:「ベトナム最新情報」 TOHO CO., LTD. 日系進出企業向けのビジネスニュースを週6回配信。開始から13年、250社超の企業が定期購読。 www.toho.com
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