佐藤 和雄さん/少林寺拳法ベトナム・ハノイ支部監督

少林寺拳法の精神を、ベトナムを担う若者たちへ。 困難に立ち向かう強さと、相手を思いやる心を育てたい

佐藤 和雄さん/少林寺拳法ベトナム・ハノイ支部監督 ベトナムの日本人小雨の肌寒い日に際立つ、サンダル履きの足。愛用の自転車をゆっくり押しながら、こちらの歩調に合わせて同じ歩幅で歩き出した。 「少林寺拳法は、人づくりの行。自分の幸福だけでなく相手の幸福も考える『自他共楽』と、『自己確立』が基本理念なのです」。 穏やかな表情で語るのは、少林寺拳法世界連合(WSKO)正式加盟団体「少林寺拳法ベトナム・ハノイ支部」で指導にあたっている佐藤和雄さん。黒帯4段を持つ正真正銘の武道家だ。 大学入学と同時に少林寺拳法を始めて早35年。しかし、武道への志はそれよりずっと前から抱き続けていたものだった。 「小学生の頃に、いじめられている同級生を助けてあげられなかった苦い思い出があります。そのときに感じた『強くなりたい』という思いが、自分を武道の道へと導いてくれました」。 2000年に来越して間もなく、ハノイ支部創設者が帰任し、その役目を引き継いだ。 現在、ハノイ支部の部員数は中学生から大学生までを中心とするベトナム人15名。指導にあたっては、数々の苦労もあるという。 「日本人に比べて飽きっぽい傾向がありますね。特に男子は、基礎よりも投げ技や関節技など華やかな技を覚えたがります。遊びの要素を織り込んだ乱捕り稽古の『運用法』を取り入れるなど、飽きさせない工夫を試行錯誤しています」。 少林寺拳法の特徴のひとつである、2人1組で修行する「組手主体」。その根底には、より実戦的な技法を養うだけでなく、相互に技を受け合うことで、「思いやりの気持ちを育む」という意味合いがある。 「自分が強くなるためには、相手にも強くなってもらわなければいけない。そうすれば相手のために自分はどうすればいいのか、自ずと考えられるようになってきます」。 組手主体の効果について尋ねると、佐藤さんの表情がほころぶ。 「ベトナム人は自分が持つ知識や技術を、仲間と共有することがあまりない、と普段から感じています。ここでも最初のうちは自分が技を覚えるだけでしたが、最近ではお互いに教え合うようになったんです。このような変化は本当に嬉しいですね」。 これからのベトナムを担っていく若者たち。社会に出れば、数々の困難が降りかかるだろう。そんな時は、少林寺拳法の精神を生かしてほしいと佐藤さんは話す。 「相手を打ち負かそうと力むと、身体が強張り、必ずどこかに隙ができる。大切なのは平常心を保って相手の動きを見極めること。そして、絶対に逃げないこと。斜め方向にうまく交わしながら、前進していけばいいのだから。こうした動きのどれもが、生活に反映できるものなんです」。 少林寺拳法の教えを実践するのは稽古場だけではない。いつの日か、必ずや若き拳士たちの生きる糧となっていくに違いない。
佐藤和雄 さとうかずお 1958年、愛知県生まれ。「井上ゴム工業」勤務。2000年、ベトナムに赴任し、仕事の傍ら週に2回ボランティアで「少林寺拳法ベトナム・ハノイ支部」の指導にあたる。大学時代から少林寺拳法を始め、日本各地の支部での指導経験を持つ。ハノイ支部ではベトナム人だけではなく、日本人メンバーも随時募集している。社会人の参加も歓迎。
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