初来越から開業までわずか3ヶ月。 助けてくれたのは、いつも周りの人だった

韓東熙さん/東屋代表 ベトナムの日本人「日本の人たちが何に困っているかを考えたら、そのひとつがホテルだったんです」。 はきはきとした口調が気持ちいい韓東熙さんは、ホテル「東屋」の若き社長。実家は自営業で、物心ついたときから「商売は自分でするもの」と思ってきた。 「ベトナムは今まさに伸びている国。必要とされているビジネスがまだまだあって、商売のフィールドとしてぴったりだなと思いました」。 2011年4月に初めてホーチミン市へ。ロサンゼルスで友人から偶然もらった『ベトナムスケッチ』が来越の決め手だったという。 「広告を見て、日本人を対象としたビジネスがこれほどあるのか、と。どんな国なんだろう、と興味が湧きました」。 無給でいいから2ヶ月間勉強させてほしいと頼みこみ、『アットサイゴン』で広告営業として市内を駆け回った。その時に出会った人々の縁で、ホテル経営の話が舞い込んできた。 「すごいタイミングでした。ホーチミン市には日本人の出張者が多いのに、特徴のあるホテルが見当たらない。サービスに特化したホテルをつくりたいと考えていたところに、いい条件で物件を譲り受けることができました」。 話はとんとん拍子に進み、同年7月に「東屋」はオープン。屋上には露天風呂を完備し、ボリュームたっぷりの和朝食を提供する、他館とは一線を画す日本人向けのホテルが誕生した。 開業後3ヶ月間は、さまざまなトラブルが起こる毎日で、ただがむしゃらに改善を重ねてきた。 「今でも余裕はないですよ。でも苦労も感じていません。それは周りの人やベトナム人スタッフに助けられてきた、というのが大きいんです」。 ふいに熱い口調で語り始める。 「経営の経験もない、ベトナム事情にも精通していない僕を支えてくれたのは、いつも周りの人だった。ホテルのロゴを作ってくれたのは仲間だったし、評判を広めてくれたのも、友人や先輩方だった。時にはお客様からもアドバイスをいただきます。僕は人に恵まれて、それだけは本当に感謝しています」。 経営上、最も心がけているのは「目の前のお客様を満足させること」。スタッフにもそれをまず第一に考えるよう指導している。 「明日のことは不安だけれど、スタッフを抱えているという責任感が、やりがいにつながっています。彼らなくして東屋はありえません。物心両面で幸せにしたいですね。そのためには、常に自分に厳しく、僕自身が困難も楽しむように心がけています。僕自身がそうでないと、働くスタッフに笑顔は生まれないですし、それがホテルのサービスに波及してしまいますから」。 「まだまだスタートライン。これからです」。そう話す若き社長は、謙虚な姿勢を崩さず、前を向いて走り続けている。
韓東熙 はんとうき 1983年、愛知県生まれ。大学卒業後、米国ロサンゼルスへ語学留学。1年後、現地の隔週間フリーペーパー『ライトハウス/Lighthouse』の広告営業として約4年間従事。2011年4月、初来越し『アットサイゴン/at Saigon』でのインターンシップを経て、同年7月にホテル「東屋」をオープン。2012年3月、ホテル裏手に別館「東屋アネックス」が誕生予定。
撮影/大池直人
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