2012.02.16

No. 003 空の色が変わるころ。/Wakako Iguchi

No. 003 空の色が変わるころ。/Wakako Iguchi フランス統治時代から残るホーチミン市人民委員会庁舎。 その建物の後景は年々変わっている

太陽は昇り、そして沈む。昼が夜に変わるごとく、サイゴンの街も刻々とその姿を変えている。昨日見たはずの建物が明日にはもう無くなっている。明後日行こうと思っていたカフェは一昨日閉店したと聞く。 No. 003 空の色が変わるころ。/Wakako Iguchi 背の高いビルが一つできただけで、急に都会になった様に見える街。その一方で、惜しまれつつも破壊されてしまう数々の歴史深い建物。発展途上国だからこそ、他の国の失敗から学んでほしかったと思うのは先進国から来た者の傲慢か。 夕景の撮影をする時はタイミングを待つ間、街をじっくりと眺める。 太陽が沈み始め、サイゴンを照らす強い日差しも静かにその姿を消し始める。 空の色が変わる頃、いつどこが変わったのだろうか、変わってしまって良いのだろうか、前に見た時と比べてふと考える。 そして、陽は落ち、明日また昇る。
写真・文/井口和歌子 いぐちわかこ フリーカメラマン。 2007年よりベトナム・ホーチミン市在住。 旅行、料理、 ホテル、企業広告等、国内外で幅広く活動。 http://wakakoiguchi.com/
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