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第11回 村の入党式
レ・クオック・ロック

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カテゴリ:ベトナム芸術鑑賞のヒント
更新:2011/08/02 – 13:19

ベトナム美術史にさん然と輝く名作の数々を収蔵・展示する、ハノイの「ベトナム国立美術博物館」。美術館ボランティア・長谷川さんのお話をヒントに、美術博物館を訪れてみませんか?

村の入党式(漆画) レ・クオック・ロック/Le Quoc Loc 1982年
村の入党式(漆画) レ・クオック・ロック/Le Quoc Loc 1982年

ベトナム国立美術博物館収蔵品から
第11回 村の入党式 レ・クオック・ロック

夜の闇に覆い尽くされた粗末な家々。外には人影ひとつなく、村全体がひっそりと静まり返っている。しかし、遠くに1ヶ所だけ、煌々(こうこう)と輝く小屋が見える。共産党員の入党式が行われているのだ。

抗仏戦争と、それに続くベトナム戦争は長期におよんだ。辛く厳しい生活が続いた当時の人びとが信じた希望の光は、愛国心を掲げて革命に邁進する共産党だった。共産党への入党は、その光を現実にするために人生を捧げることを意味したのだ。

この作品は、そんな「希望の光」を信じる人々の心を、感傷に溺れず、プロパガンダアートほど宣伝的でもなく、しかしきわめてダイレクトに、観る者へ訴えてくる。

レ・クオック・ロックは優れた漆画家であり、写実的な表現の作品を多く描いた。しかし、この作品は家々が大胆にデフォルメされ、グラフィックデザインのようでもある。彼は漆絵と同様に装飾デザインの制作にも非常に力を入れていたのだ。この作品では彼のデザイン力が如何なく発揮され、独特の魅力を醸し出すことに成功している。

この作品は、ベトナム戦争が終わり、すでに南北ベトナムが統一された後の1982年に制作された。戦後しばらく経ったこの時期だからこそ、ロックは冷静に過去の記憶をたどり、余分な感情や仔細な描写をそぎ落とし、この独特な趣きのある作品を描くことができたのだろう。

ベトナム国立美術博物館/Bao Tang My Thuat Viet Nam
住所:66 Nguyen Thai Hoc St., Ba Dinh Dist., Hanoi
電話:(04) 3823 3084 / 3733 2131
開館時間:8:30~17:00
入館料:2万VND(約80円)

長谷川光代 はせがわみつよ
早稲田大学第一文学部美術史学専修卒業。英国シティ大学大学院でアートマネージメン
トを学ぶ。東京都港区の森美術館での学芸員を経て、2009年よりハノイのベトナム国立美
術博物館でボランティアを務める。

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